応用工作
じゃんけんマシーン


応用工作 じゃんけんマシーン その2

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回路要件決定までの経緯
最初は2人が向かってお互いの「ぐぅ」・「ちょき」・「ぱぁ」を押した時に判定して勝敗を表示する予定でした。

挑戦者Aの「ぐぅ」・「ちょき」・「ぱぁ」のスイッチ(入力3点)
挑戦者Bの「ぐぅ」・「ちょき」・「ぱぁ」のスイッチ(入力3点)
結果表示「Aの勝ち」・「Bの勝ち」・「あいこ」の表示等(出力3点)

ざっと考えれば、これにリセット(入力1点)計10点の入出力でまかなえるはずでした。
しかし、押したボタンを離すと情報が消えてしまうので、何を押したのか表示で残す事を考えると、
あと6点の出力が必要になってしまい、これでは16F84ではまかなえなくなってしまいます。

・・・・・

ということで、前置きが長くなりましたが、思考ルーチンをつくって、機械対人間で対戦することになりました。


思考ルーチンをどうするか
普通に考えれば、シーケンス回路で用意できるのは接点とコイル。せいぜい組めるのが自己保持回路程度。
ランダムな結果をどうやったら設計できるか。思考テーブルを用意して順に読み出すとか。
でも、欲を出せば「ぐぅ」を出す確立が高い・「時々同じ手を繰り返す」など、癖もあったら楽しい・・・

実は、回路要件を決定した時すでに秘策がありました。

自動制御回路というのは、安定稼働第一ですから、勝手に結果を作られたんじゃ大変です。
でも、その気になればそういう回路も作れます。結局組み方次第です。


ここがミソの思考ルーチン
まず上の回路をご覧ください。
前にも解説しましたが、PLCはシーケンス回路を「プログラム」として頭から順にグルグルと早いスピードで実行しているだけなんです。
ですから、普通はそれを念頭に「流れ」を重視した回路構成を組みます。
しかし、その流れを利用し時系列で考えれば、変な回路が組めます。


では、流れを追って考えてみましょう
シーケンス1順目の1行目
電源を入れた直後(リセット直後)は、M02・M03・M04がOFFの状態です。ですから接点M02・M03・M04を(すべてB接点なので)通ってM02のコイルはONになります。
シーケンス1順目の2行目
M02のコイルがONになったので、ここの行は条件が揃わず、M03はOFFのままです。
シーケンス1順目の3行目
ここも、M02のコイルがONなので、同じく条件が揃わず、M04はOFFのままです。
まとめ(M02=ON:ぐぅ) シーケンス1順目は、M02(OFF→ON)・M03(OFF)・M04(OFF)で、確定しました。


シーケンス2順目の1行目
1順目の時にM02のコイルがONになっていますので、自己の接点の条件により条件が揃わず、M02はOFFになります。
シーケンス2順目の2行目
M02のコイルがOFFになったので、接点M02・M03・M04を(すべてB接点なので)通ってM03のコイルはONになります
シーケンス2順目の3行目
M03のコイルがONになったので、ここの行は条件が揃わず、M04はOFFのままです。
まとめ(M03=ON:ちょき) シーケンス2順目は、M02(ON→OFF)・M03(OFF→ON)・M04(OFF)で、確定しました。


シーケンス3順目の1行目
2順目の時にM03のコイルがONになっていますので、M02はOFFのままです
シーケンス3順目の2行目
2順目の時にM03のコイルがONになっていますので、自己の接点の条件により条件が揃わず、
M03はOFFになります。
シーケンス3順目の3行目
M01のコイルがOFFになったので、接点M02・M03・M04を(すべてB接点なので)通ってM04のコイルはONになります
まとめ(M04=ON:ぱぁ) シーケンス3順目は、M02(OFF)・M03(ON→OFF)・M04(OFF→ON)で、確定しました。


シーケンス4順目の1行目
3順目の時にM04のコイルがONになっていますので、M02はOFFのままです
シーケンス4順目の2行目
3順目の時にM04のコイルがONになっていますので、M03もOFFのままです
シーケンス4順目の3行目
2順目の時にM04のコイルがONになっていますので、自己の接点の条件により条件が揃わず、M04はOFFになります。
まとめ シーケンス4順目は、M02(OFF)・M03(OFF)・M04(ON→OFF)で、確定しました。

※この後また 1順目〜を繰り返すことになります。


どうでしょう。わかりましたか?
回路をスキャンし、処理していくごとに結果が変わっていきます。
どこかで、ボタンを押した時に たまたまONになっている接点が、マシーンの考えている「手」なのです。
電子ルーレットを手動で停止させているようなものです。
ただし、4順目の場合、回路上では次にまわってくる手「この場合はぐう」を取り込むので、
計算上では、ぐうの確立は2/4(1/2)、ちょきぱあはそれぞれ1/4の確立となります。
ぐうを出す確立が高いという癖がここにあります。

ぐうでなくぱあちょきの確立を増やすこともできます。やり方はご自分で考えてみてください。

流れが解れば簡単な回路です。こんなので「思考ルーチン」ですから笑っちゃいますよねぇ。

「連枝」がどれぐらいの速度でこの処理をこなしているかは、計測していないのでわかりませんが、結構満足かな。
もっと工夫して組むこともできますが「おもちゃ」ですし、「癖」も考慮してこれで充分ということにしておきましょう。


ここにシーケンス回路を用意しました。どうぞお持ち帰り下さい(ダウンロード後、解凍して下さい)


まだまだ続きますよー お楽しみに


回路と動作要件 組立について