制御の基本
シーケンス図の
基礎知識
講義1時限目:リレーについて
講義2時限目:入出力にかかわる部品たち
講義3時限目:シーケンス図の基礎知識
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ラダー図というのがあります。これから先は、ラダー図について学んでいきたいと思います。
回路のようで回路でない、あみだくじでもない、どうやら「ハシゴ」=ラダーというところからきているようです。確かに、ハシゴみたいに見えますね。ラダー図とかシーケンス図(シーケンス回路)とか、人によって色々な言い方をします。とりあえずここでは、「シーケンス回路」で統一します。

まえがき
基本の説明として、本来はすべてリレーを用意して組むと良いのですが、作業の時間や環境・ON/OFFの時間差や、回路の回りこみなども考慮しなくてはならないので、基本的には初心者向けにPLCでの想定で回路を構築するようにしていきますので、ご了承下さい。


シーケンス回路の描き方です
まず、左右に基本となる2本の線(母線)を書きます。


この線はこんなつもりで・・・
左の線が電源の+「プラス」と定義します。
右の線は電源の−「マイナス」と定義します。

そして、電流は必ず左から右に流れると定義します

実際に書くときは、線に色をつけたり、電池の図や+,−とかは書かないで下さい。笑われますから・・・


基本 その1
入力(X00)がONになると出力(Y10)がONになる回路
X00はスイッチの常時開接点(A接点)をあらわします

Y10の丸は、出力リレーのコイルをあらわします


基本  その2 「AND回路」
入力(X00)と入力(X01)の両方が同時にONになると、出力(Y10)がONになる回路
X00,X01はスイッチの常時開接点(A接点)をあらわします

Y10の丸は、リレーのコイルをあらわします


基本  その3 「OR回路」
入力(X00)または(X01)のどちらかがONになると、出力(Y10)がONになる回路
X00,X01はスイッチの常時開接点(A接点)をあらわします

Y10の丸は、出力リレーのコイルをあらわします

ここまで出てきたことの補足
1. 入力はX00 というように Xのあとに入力端子の番号を付けます
2. 出力はY00 というように Yのあとに出力端子(出力リレーのコイル)の番号を付けます
X または Y のあとに付く番号は、使用するハードの仕様にあわせてつけます。
今回使用している記号や番号は、後述する「ステキPLC」での実験を想定しての番号です


基本  その4
「基本その1」の出力先を補助リレー(内部リレー)に変更してみました
M00の丸は、補助リレーのコイルをあらわします

直接出力端子につながっているリレーではないので、そのままではPLC上での動作状況を見ることはできませんが、Mリレーは主に一時的な結果や条件をまとめる用途に使います

ここまで出てきたことの補足
1. 補助リレーはM00 というように Mのあとに補助リレーのコイル番号を付けます
M のあとに付く番号は、使用するハードの仕様にあわせてつけます。
今回使用している記号や番号は、後述する「ステキPLC」での実験を想定しての番号です


基本 その5 「自己保持回路の元」
自己保持回路の元となる考え方です
@ X00のスイッチがONになります。
A コイル M00に、電気が流れます。
B 接点 M00がONになって、そこ経由でもコイル M00に電気が流れるようになります。その後は、X00のスイッチがOFFになっても、コイルにはずっと接点M00を通って電気が流れ続けますのでON状態が継続します。
これは、回路に供給されている電源が切れるまで(回路が途中で寸断されるまで)継続されます。


基本 その6 「自己保持回路の完成」
これが完全な自己保持回路です
「基本その5」のままでは一旦M00がONになると、電源が供給されている限りずっとONのままですが、これをリセットするのがX03スイッチになります。

X03はスイッチの常時閉接点(B接点)をあらわします。普段はONになっていますが、押すとOFFになるので、自己保持回路によってONし続けているM00の条件がそろわなくなります。

ですから、ON/OFFがコントロールでき、その状態を保持することができます。

ここで、新しい記号がでてきました。リレーの接点記号です。
普段はOFFになっていますが、
コイルに電気が流れる(動作する)とONになる接点です。
普段はONになっていますが、
コイルに電気が流れる(動作する)とOFFになる接点です。

自己保持回路によって記憶回路を持たせることが可能になりました。いわゆる「メモリー」です。
これに前述の「AND」や「OR」の判断を組み合わせることによって、回路に頭脳を持たせることが可能となりました。
ここまでマスターすればあとはこの回路を組み合わせるだけで完成です。

回路の基本はここまでです。

応用例はいろいろありますので、それらは今後実際の回路を見ながら学んでいきましょう。
他の方が組んだ回路を見るのも、とっても勉強になります。いろいろなテクニック(やり方)がありますから・・・

参考までに、自己保持回路から外部出力に出してみました。
Mリレーの記述を使わずに、いきなりYリレーで自己保持かけても良いのですが、入出力(特に出力)はラダー図のどこかにまとめたほうが大きな回路では有効な場合が多いので、あえてこのように(Mリレーで一時的な内部結果を保持)しています。

起動PB(プッシュボタン)を押すと、起動保持がかかり、その接点で起動表示の表示灯を点灯させます。もちろん停止PBを押すと、起動保持が切れ、ランプも消灯します。

もちろん左図のような接続も可です。

起動保持のコイルに、ランプ出力を並列に接続してあります。


それより、PLCの説明が・・・
その昔は、リレーを使って制御回路を組んでいました。
しかし、リレーで組んだ場合は機械によっては制御盤の盤面にぎっしりとリレーが並び、その配線の量もすごいことになります。もちろん、回路の仕様変更や修正となるとその労力は計り知れません。
また、ひとつのリレーの接点は、せいぜい4回路程度しかないので、同じ接点を各所に使う場合はリレーを何個も並列につないで接点数を増やしたり、無理な回路を組むことにもつながります。
昔の百科事典に載っている「電話交換機」もきっとリレーの集合体だったのかもしれませんね。
ところが、そこで登場したPLC(シーケンサ・シーケンスコントローラ・プログラマブルコントローラ等、各製造メーカーの商品名で呼ぶこともある)の登場によって大きく変わりました。PLC(プログラマブルロジックコントローラ)は、シーケンス回路をプログラムとして処理することができるのです。すごいですよね。つまり、入出力端子には電源や入出力機器等の周辺部品を接続し、関数電卓のようなハンディコントローラからシーケンス回路を入力すると、PLC内部でそれらを実行し制御できるのです。大幅な仕様変更や修正であっても簡単にできます。とても便利になりました。
PLCを使用したシーケンス回路は、リレーという「ハードとしての部品」を使っていないので、「無接点シーケンス」と呼ぶこともあるようです。今では単にシーケンス回路の実行以外に、さまざまな関数や通信等の外部インターフェイスも充実して応用例もずっと増えました。しかし、基本のシーケンス回路はやっぱり大事です。今後もしばらくこの流れは続くでしょうから、これからこの道に関わりそうな方はぜひとも学んでいってもらいたいです。急に関わる必要が出てきてから学んでいった人(このHPの管理人はこのタイプ)もぜひどうぞ。


おまけ 禁止(推奨しない)回路
特殊命令の場合、一部あてはまらないこともあります(常時ON接点の定義など)
1.コイルのうしろに接点があるのはダメ
 (PLCでは組めない)

2.コイルの存在しないのはダメ
 (ショートする回路・PLCでは組めない)

3.コイルの前に接点がないのはダメ
 (PLCでは組めない)

4.ショートするような回路はダメ
(2.と同じ意味・PLCでは組めない)

5.コイルの直列接続はダメ
 (PLCでは組めない)

6.リレーが激しくON/OFFするような
 無理な使い方はダメ
 (リレーの機械的寿命を短くする)