自習時間


両手起動
機械設備などの起動は、左右の手でそれぞれボタンを同時に押さないと起動しない、いわゆる「両手起動」が多く採用されています。プレス機械で、もし片手起動がかかるようになっていたらどうでしょう?もう一方の手で材料を押さえていますか?その材料が動いてケガをするかもしれません。薄い鉄板は突如として刃物に変化します。

ひょっとすると自由な片手はプレス機の動作部分に置いているかもしれません。なにげなく・・・危険ですね。
こういう場合は必ず両手起動が基本なのです。機械の速度が遅いからといっても油断はできません。もちろんそれ以外にも、マットスイッチや光電管などのスイッチやセンサー等の併用で、2重3重の安全機能は備えておくのが普通ですが、念には念をいれておきましょう。

ただし、ここで紹介する回路はあくまで「ひとつの例」です。当然、社内はもちろん機械納入先のルールや設計図および仕様書のほうが優先ですので、ご注意ください。


まず例題をご覧ください
いつも出てくる起動回路です。
自己保持回路がやっぱり基本です。X00とX01を同時に押すと起動がかかる。X03を押すと停止。
一通りの動作が終わると起動保持がOFFになります。


ここで危険予知訓練です

起動ボタンの不具合


もし、スイッチのバネが壊れたりして1つが常時導通状態になったらどうでしょう?
壊れないスイッチなんて存在しません。両手でなくて片手で起動がかかれば問題ですね。

配線取り回しの不具合


機械や制御盤のフタなどで挟まれて、回路がショートしたらどうでしょう?
漏電の危険もありますが、予想外のところで起動がかかるかもしれません。

うっかりや人為的に・・・



起動スイッチボックス内や制御盤の中に入れた(置いた)工具でショートしたり、作業効率を上げるために片手で起動できるようにスイッチのバイパス配線や秘密の○○・・・

まだあるかもしれませんが、とりあえずこれで考えましょう。


対策について考えましょう
起動ボックスや制御盤などに、工具やお菓子を入れておくのはルール違反ですので、すぐに片づけましょう。感電およびネズミの侵入等、予想外の問題に発展します。スイッチ交換で開けたら「お菓子袋発見!」 食べながら仕事してはいけません。

配線が挟まれていたり、むき出しになっている箇所はないか?日常の清掃や点検も大事なのです。不具合があればすぐに直しましょう。時には作業状況もチェックして、危険な作業をしていないか確認することも重要です。

スイッチの間隔も重要です。近すぎると、片手で押せてしまいますから意味がないですね。


次に、本題「起動スイッチの配線」を考えましょう

変更前
この回路では、一方のスイッチが「ONのまま」等の事件が起きてもわかりません
変更後
入力ポートに余裕があれば断然こちらを選択したいですね

シーケンス回路も考えましょう

対策1
常時ON阻止の回路例:しっかりとOFFになったか確認します
対策2 必要に応じて異常を知らせる

スイッチ異常を表示させるともっと良いでしょう
工程の状況表示盤等に表示させると、すごく目立ちますね


安全装置で固めることも大事です。しかし、安全装置が増えれば、その安全装置が故障する確率も増えることになります。
また一方で、現場で作業する人の立場も考えて、使いやすい設備であることも大事なのです。

現場に出ると、結構考えさせられることあるんですよね。